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ブロックチェーンの特許申請が過熱! 取得合戦の勃発へ。

August 3, 2018

「仮に今日、アイデアが生み出された際に多くの人々が特許を得る方法を知り、実際にそれを得た場合、今の産業は完全に立ち行かなくなっただろう。」

 

マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツは、1991年にこのように述べていますが、これは現在の状況を予測していたかのような発言です。

 

今、ブロックチェーン(分散型台帳技術)の特許申請がヒートアップしており、取得合戦の様相を呈しています。USTPO(米国特許商標局)の報告書によれば、2016年6月までに申請されたブロックチェーンの特許の件数は200件を超えており、そのうち48件が特許取得済みと公表されています。特許は申請から承認までは18ヶ月以上かかるため、現在では把握しきれないほど数多くの特許が申請されていることは間違いありません。

 

 

国別・企業別の特許申請状況

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Big Law Businessより

 

上のグラフは2011年から2018年4月までのブロックチェーンに関するアメリカの特許申請数を表したものです。2016年には承認されたものも合わせると、250件を超えています。

 

ただ、2017年の件数が落ち込んでいるのは、中国が台頭してきたからです。中国の2017年の特許申請数は、225件と2016年のアメリカに迫る勢いで、ブロックチェーンの特許申請でもアメリカと中国の2強の争いとなっています。

 

以下のグラフは、今年の各国企業のブロックチェーン関連特許の申請数を示しています。これを見ても、アメリカと中国の2強争いになっていることが分かると思います。

 

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COINTELEGRAPHより

 

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Bitcoin Patent Reportより

 

 

特許取得合戦の裏で暗躍する特許ゲバ


特許とは独占権であり、利権が得られることは今更説明する必要はないでしょう。

その利権に群がる銭ゲバ*ならぬ特許ゲバの代表格は、暗号通貨業界で物議を醸し出している人物であり、ビットコインの発明者サトシ・ナカモト氏を名乗るクレイグ・ライト氏です。彼は実際に使用する意図を持たずに特許を掻き集め、代わりに、事業で類似の技術が必要となるであろう企業に対し、巨額の特許料を要求しようとしています。


米デジタルコマース協議会でブロックチェーン知的所有権評議会共同議長を務めるマーク・カウフマン氏は、フォーチュン紙で次のように話しています。


「彼の戦術と活動は全て、特許主張団体、又は軽蔑を込めて特許ゲバと呼ばれる者の証である。彼の会社が持っている製品を、私は一つも知らない」


*ゲバ…ドイツ語で暴利行為を意味するGewalt(ゲバルト)の略。

 

 

 

ブロックチェーンとオープンソース特許の問題


もう一つの問題は、ブロックチェーンがオープンソースソフトウェアで作られているという点です。オープンソースと特許申請の問題は、常に物議が醸し出されている分野であり、どこまで認められるかも怪しい分野です。実際に、Wikipediaに記載されているいくつかのコミュニティは次のような見解を示しています。



―リチャード・ストールマン、アラン・コックス、ブルース・ペレンズ、リーナス・トーバルズをはじめとするコミュニティ指導者とレッドハット、MySQL ABなどの企業、そしてFSFE、IFSOなどのコミュニティ団体はいずれも特許がフリーソフトウェアに多大なる問題を引き起こすと考えている。―

(wikipediaより抜粋・引用)



そして、コンピューターエンジニアは特許申請分野の知識がないのも事実です。

もしサトシ・ナカモト氏がブロックチェーン技術の特許申請をしていたら、これほどこの問題の広がりはなかったでしょう。また知識があったとしても技術の広がりのために特許を申請しない、もしくは申請して特許を取得したとしても、フリーで提供する場合がほとんどです。

その上、ブロックチェーンはまだそれほど社会に浸透していないテクノロジーです。今、ブロックチェーンテクノロジーに特許の申請がかかるとテクノロジーの進化を阻害することにもなりかねません。





特許ゲバはテクノロジーを殺しかねない


今後も多くの企業が利権を求めて特許を申請することは間違いないでしょうし、その背後には特許ゲバの影が見え隠れするでしょう。ただし、そのほとんどがプライベート(中央集権型)ブロックチェーンによる技術であり、IoTやビッグデータ関連のパブリック(分散型)ブロックチェーン開発はこれからになると思われます。



しかし、特許申請争い、利権争いが今後、パブリックブロックチェーンの開発に悪影響を及ぼす可能性は非常に高く、テクノロジーの進化を妨げ、将来の可能性を殺してしまいかねないのも事実です。目の前の利権に群がる企業や特許ゲバ達には、暗号通貨しか見えておらず、ブロックチェーンテクノロジーが創る未来や可能性は見えないのかもしれません。



一方、日本では『コインチェック事件』以降、金融庁の行政指導が強化されたこともあり、『仮想通貨大国』と呼ばれたころの姿はすでにありません。しかし、国内には世界に通用するブロックチェーンテクノロジーを作り出そうと努力している企業やコミュニティが数多く存在します。

CTIAとしては今後、日本におけるブロックチェーンテクノロジーの発展に資する提言を続けていくとともに、当局には適切な対応を求めていきたいと考えています。

 





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